更年期ケア、健康・美容業界における課題と可能性と今後の展望

1. 拡大する更年期ケア市場

 日本では少子高齢化が進み、女性の人口のうち50歳以上の女性が約半分を占めています。

 

 

この大きな変化には驚かされますが、しかし更年期以降の女性の増加は、健康・美容業界にとって大きなビジネスチャンスです。

 

 

更年期は閉経を迎える時期だけでなく、女性ホルモン減少による体調不良が起こりやすい時期であり、多くの女性が健康や美容の悩みを抱えています。

 

 

これらの悩みはその背景も内容も一人一人違い、多くの女性が孤軍奮闘しています。

 

 

そのため、更年期ケアを提供するサロンや施術者のニーズは今後ますます高まるでしょう。

 

 

ここではその課題と可能性をあげ、今後の展望を考えてみたいと思います。

 

 

 

2. サロン経営の課題とチャンス

昨今の人口減少は顧客の減少を意味し、特に若年層をターゲットにしていたサロンは経営が厳しくなる可能性があります。

 

 

しかし、視点を変えれば、増加する50代以上の女性をターゲットにすることで新たな市場を開拓できます。

 

 

この世代は「ブルーオーシャン」と呼ばれる大きな市場であり、「若さを保つ」美容から「健康で美しく年齢を重ねる」美容へとシフトすることで経営を持続させることが可能です。

 

 

今後経営を維持するためには、新たなターゲットへのアプローチが必要になってきます。

 

 

 

3. 交通問題と出張サービスの需要

 私が住んでいるのは札幌市ですが、今、運転手不足によりバスの減便が進み、移動手段の確保が難しくなっています。

 

 

 主要な交通機関である札幌市営地下鉄駅まで行くのにバスを使うのですが、以前1時間に2本あったバスが今一時間に1本、それさえもない時間帯まであります。

 

 

帰りの時間も、バスの時間を優先しなくてはなりません。

 

 

乗り遅れると1時間待たなくては行けなないので寒い中少し早くから待たなくてはいけなくて結構辛いのですよ。

 

 

 

このようなことは、一部の地域だけではなくこれから増えてくる切実な問題になってくるでしょう。

 

 

 

これは、美容室や運動の施設や病院へのアクセスも困難になることを意味します。

 

 

そう考えると訪問型の更年期ケアサービスのニーズは、今後高まってくると思われます。


いつもの美容院に行けなくなったから、あきらめるとか訪問型の美容院をあらためて探すのではなく、私だったら今まで行っていた美容室に今まで通りサービスを受けたいという気持ちがあります。

 

 

 

今まで施術してくれていた美容師やエステティシャン、セラピストが自宅へ訪問してくれたらどんなに助かるでしょう。

 

 

 

 

 

4. 更年期ケアの必要性に対する認識の高まり

メディアやSNSで更年期に関する情報が増え、女性自身が「更年期ケアの必要性」を認識するようになっています。

 

 

今までは我慢するしかない、更年期が過ぎるのを待つしかないという風潮から、積極的にセルフケアや更年期ケア、治療を受けて前向きに対処して乗り越えようという機運が高まってきました。

 

 

これにより、更年期に特化した健康・美容サービスの需要も増加しています。

 

 

例えば、自律神経のバランスを整える施術や、更年期の肌トラブルに対応したスキンケア、リラックスできるアロマセラピーなど、個別化された専門性の高いサービスへの期待が高まっています。

 

 

この機会を活かしましょう。

 

 

 

 

5. 更年期ケア提供者の課題

私がいろいろな方から相談を受ける中で、長年健康と美容に関したサービスを提供していた方も、経験を積んでいる一方で自らも更年期の悩みを抱えていることがあります。

 

 

更年期症状に悩みながら、ご自分の仕事を続けていけるだろうか・・と不安をもっています。


特に体力を使う場合、サービスの継続が難しく廃業するケースもあります。

 

 

しかし、自身が更年期を乗り越えてサービスを継続できれば、「自身の体験をもとにサービスを提供できる」という大きな強みを手に入れ宇ことができます

 

 

その強みを活かしてサービスを継続するためには、以下の課題を克服する必要もあると考えます。

 

  • 更年期ケアに関する情報の不足
  • 学びの機会と時間・費用の不足
  • 自身の更年期症状による影響

 

 

提供する更年期ケアに関する情報やケアは、科学的な根拠に基づいたものであることが重要です。

 

 

 

例えば、ホルモン補充療法(HRT)の効果やリスクについて、最新の研究結果を提示したり、漢方薬やサプリメントの効果について、臨床試験の結果を紹介したりすることが考えられます。

 

 

 

専門的に更年期のケアを提供しようとすればメディアやネットからの情報だけでは不十分です。

 

 

 

 

 

6. 更年期ケアの可能性と展望

これらの課題を克服し、より良いサービスを提供するためには、以下の方向性が考えられます。

 

  • 専門的な学びの場を探す
  • エビデンスベースの施術とサービスを提供する
  • サロンのビジネスモデルの多様化する
  • 更年期ケアのネットワーク構築する
  • 更年期の経験を強みに変える

 

 

 

7. 更年期ケアを支えるテクノロジー

今の更年期世代の女性は、様々なテクノロジーに触れ活用し始め抵抗感もあまりない世代です。

 

 

AIやウェアラブルデバイスの活用は、更年期ケアを個別化・最適化する上で大きな可能性を秘めています。

 

 

例えば、AIを活用した症状チェックアプリで日々の体調を記録し、ホルモンバランスの変化を予測したり、スマートウォッチで睡眠の質や心拍数などをモニタリングし、最適なケアを提案したりすることが考えられます。

 

 

バーチャルカウンセリング&AIカウンセラーなど、テクノロジーの活用もますます進んでくるでしょう。

 

 

 

8. 社会全体で支える仕組みづくり

更年期ケアは個人の問題ではなく、社会全体で支えるべきテーマです。

 

 

地域医療機関や自治体との連携を強化することで、更年期ケアをより身近なものにすることができます。

 

 

例えば、地域包括ケアシステムを活用し、医療・福祉・介護の専門家が連携して、更年期女性を包括的にサポートする体制を構築することが考えられます。

 

 

更年期から高齢期へうまく橋渡しができれば、介護を減らすことも可能です。


また、健康経営が進み、女性特有の健康課題への取り組みも見られるようになってきました。


更年期症状によって働くことが難しい女性のために、柔軟な働き方や在宅ワークなどの選択肢を提供することも重要です。

 

 

企業は、更年期症状に配慮した勤務時間や休暇制度を導入したり、オンラインでの相談窓口を設置したりするなど、積極的にサポート体制を整備することが求められています。

 

 

その一環として更年期ケアを積極的に受けられるよう時間の確保、経済的支援も充実することが望まれます。

 

 

 

まとめ:更年期ケアは新しいフェーズへ

 

更年期ケアは今、新しいフェーズに入ろうとしています。

 

 

より個別的で専門的なケアの提供、オンラインとオフラインの融合、テクノロジーの活用、公的支援と企業の取り組みなどを通して、更年期ケア市場はさらに発展するでしょう。

 

 

これからの時代は、更年期を前向きに捉え、自分らしく健康的に過ごすためのサポートが求められる時代です。

 

 

更年期ケアを提供する側も、当事者として共に学びながら、女性たちがより快適に過ごせる社会をつくることが求められています。

 

 

助産院ハイジアでは、これらの社会を作るために女性への支援を行っています。